ディアー・ウェンディー

「ディアー・ウェンディー(Dear Wendy)」公式サイト
http://www.wisepolicy.com/dear_wendy/

ひとつの恋の話であり、青春からの卒業の話。
タイトルから想像できる通り、主人公(「リトル・ダンサー」で主演したジェイミー・ベル!)はウェンディに恋に落ちる。ただウェンディは普通の女の子じゃない、人間ですらない。美しきウェンディはアンティークの拳銃なのでした。


主人公はアメリカのある小さな町――炭坑を主産業とし、若者は炭坑夫になることを当然とされている、に住んでいるひ弱な青年ディック。彼はひょんなことから本物の銃を手に入れ、自分に自信を持てるようになる。銃という人を傷つける力を持ったからではない、銃という力を持ち、そして知って、その上で使わないことによって自信を手に入れたのだ。銃による平和主義。


ディックは自分と同じような負け組み人生を歩む仲間を集め、銃による平和主義を実践する「ダンディーズ」を結成。
メンバー各々が自信を持てるようになるが、ダンディーズは独自のルールを追求し、ジャーゴンや独自の正装を用いるようになる。ダンディーズ自体が独自のコミュニティとしてセカイを形作り始める。自信を得るための手段であった銃が目的になり始めちゃうんだよね。


そしてある事件が起こり、ダンディーズは外の社会(=大人の社会)と対峙することになる。
これって実は誰にもあることで若者内でのルール・セカイが大人のルール・セカイに解体され、様式的に殺される。そして大人の社会の成員として認められる。いわゆる通過儀礼ってやつ。
その通過儀礼に銃という武器が介在するとどうなるかを描いた銃社会への批判を持った、青春映画。


若者たちの愚かしくもイノセントで魅力的な若者たちの青春とその終わり。ゾンビーズの日々がキラキラと茶目っ気たっぷりな分、終わりの絶望がこころに迫るよ。
物語を彩るThe Zonbies の曲もよいなぁ。CD欲しくなった。