川上弘美「古道具 中野商店」

古道具 中野商店
脱サラして始められた古道具屋「中野商店」。そこに務める主人公や同僚のタケオ、店に来るお客たちの、人模様、恋模様の話し。
川上弘美の小説って最近変わってきた気がする。この作品では超現実的な出来事は起こらない。以前の作品ではヒョコヒョコと、そ知らぬ顔をして出てきたのに。そのような「分からなさ」は今作では人間関係に落としこめられている感じがする。当たり前のようにそばにいる人たちが見せる理解不能性。何かどろっとした物体のあたたかい表面に安心して中に手を差し入れたら、意外とひんやりしていた感じ。人間とは完全には理解しあうことは出来ない。それでも求め合ってくね。