蜷川実花「永遠の花1」

オシャレ写真番長こと蜷川実花の、墓地に手向けられた造花をモチーフとした個展。

大型にプリントされた作品に同サイズのアクリル板が貼られている。前回は小さなサイズで試みられていた手法だ。むせかえりそうなほど鮮やかで溺れそうなほどの色の洪水を特徴とする蜷川実花の写真をより美しく見せることに成功している。

写された花は一見本物の様に見える。だがよく見てみると造花のテクスチャや人工の部分が現出してくる。ただ彼女の撮る生花もまた、自然を超えた色身で人工的にも見える。というか蜷川実花の写真ではもはや、本物も作り物も関係ない、私たちの知っている世界とは切り放された異界のそれとして立ち上がってくるのだ。

蜷川実花は、2000年から墓地の造花を撮り続けているという。それは死者を悼む人々の思いを、永遠にしたいという彼女の祈りなのかもしれない。

会場:トーキョーワンダーサイト(渋谷)
http://www.tokyo-ws.org/shibuya/index.html